秋も少しずつ深まってまいりました。みんな一緒の一歩&いっぽ(以下「一歩」と記す)では、保育園の子供達と一緒に散歩をしたり、運動会、作品展等沢山の行事を楽しんでおります。
さて、先日の一歩での出来事です。
女性の利用者さんのAさん、他の利用者さんとのお喋りが続かず、暇を持て余していると。徐々にソワソワと落ち着かなくなり、施設内を歩き周り玄関に向かわれました。
どうされたのか、たずねると
「もうそろそろ家に帰らないと…」と、不安げなご様子。
ある職員が「これから体操が始まるから一緒にやりましょう」と手を繋ぎ体操の輪に入りました。
暫くすると再び立ち上がり玄関へ。
何度か同じ様な事が繰り返されました。
上記の様な事は、よくある光景かと思われます。
この後一歩の職員はどの様に対応したと思いますか?
続きは…
不安な表情のAさんとベンチに座り、温かいお茶を啜りながら、肩を撫でながら、お喋りをして、Aさんと2人で台所へ移動。
その後Aさんは職員が洗った食器をキレイに布巾で拭き上げてくださいました。食器を拭きながらもお喋りを楽しまれ、笑顔が出て来た所でスムーズに次の活動へ参加されていきました。
一歩での日常の一場面です。
私はこの場面を見て
「あっ!あれの基本だ」と思い返しました。
それは…
今介護の分野で注目されている
「ユマニチュード」という考え方です。
「ユマニチュード」とはフランス語の造語で「人間らしさ、その人らしさを取り戻す」という意味だそうです。
このユマニチュードの技術の
4つの柱というのが、
「見る」
「話す」
「触れる」
「立つ」
まさに、ベンチに座り、目線を合わせて、肩を撫でながらお喋りをして…
少し落ち着いた所で、Aさんの馴染みのある食器拭きの活動に移行。
ユマニチュードの考案者は…
介護がうまくいかない時、その理由はご本人に
「あなたのことを大切に思っている」という優しい気持ちの
「届け方」「伝え方」に問題があるのだと。
意識的に4つの柱を頭に、利用者様と接しているか?を
改めて振り返り、実践していくと利用者様も職員も笑顔が増えていくのではないかな~と思っています。
※参考文献
「家族のためのユマニチュード/イヴ・ジネスト ロゼット・マレスコッティ 本田美和子/誠文堂新光社」